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書名;霧の中
著者名;佐川一政
パリで友人の白人女性を殺し、その人肉を食べたという佐川氏の小説仕立てのノンフィクション。
現在執筆中の本の参考にと、読んでみたもの。
どんな異常心理なのか、と僕は興味深く読んだが、一般的な読み物としては、(人肉食に興味が無ければ)お勧めするものでもないかも。
まず驚いたのは、佐川氏が大変にインテリであること。その一方で、構成その他、ややラフだなという印象はあったのだが、ゲラのチェックも何もしていないうちに、本になってしまったとのことで、納得。
印象としては、「異常心理」といいつつ、あまり異常ではないな、ということ。むしろ、普通の人なんだと感じた。人肉食自体は、かなり変わった趣味ではあるが、妄想と現実の関係など、他の異常とされる性欲と何も変わらず、普通にその心理は理解できる。
僕がこの本でもっとも面白いと思ったのは、実はあとがき。氏がここで書いていることは、僕の本のテーマにも共通することなのだ。
少し長くなるが、引用しよう。
---------------霧の中 あとがきにかえて より------------
それは、あのような事件を犯してこそはじめて認知し得たであろう一つの想念である。
被害者の女性の屍の肉片を口にしながら、彼女の生きていた美しい姿を懸命に心の中で追うような試みをなしたり、あるいはポルノ雑誌のヌード写真を見ることによって、かつて死ぬ程苦しみながら抱き続けてきたカニバリズムの妄想を懸命に蘇らせようとしつつ、遂にその落差を痛感し、妄想の対象であった筈の肉片は、徹頭徹尾現実の世界に属し、現実に生きている女性の発散するもの、そのエロティシズムは、実は虚構に過ぎないというこの逆転を、ある意味ひどく過酷に痛感することは体験者こそ知り得た、あるいは感じずにはいられなかったことだと思われる。
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- 2008/07/09(水) 14:09:52|
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